インターネットや衛星通信が普及した今、モールス信号で会話する仕事はほぼなくなりました。
しかし、現在でもモールス信号が完全に消えたわけではありません。
航空・海事といった専門分野では今も一定の役割を持っており、趣味のアマチュア無線ではむしろ根強い人気があります。
本記事では、「モールス信号を使う仕事」 を中心に、歴史的に使われていた職種や副業としての活かし方までまとめて解説します。
モールス信号は現在でも使われているのか？
モールス信号というと「昔の通信手段」という印象が強いですが、現在も 航空業界の無線標識 や 海事の緊急通信 などで利用されています。
また、趣味のアマチュア無線（CW＝Continuous Wave）では世界中で人気があり、日本は特に技能レベルが高い国として知られています。
つまり、
- 実務でモールスが必要な仕事は“少数だけど確実に存在する”
- 趣味や副業としての価値は今も高い
というのが現状です。
現在でもモールス信号が関わる仕事
現在でもモールス信号が関わる可能性のある仕事を紹介します。
※就職等で検討の方は正確な情報は就職先にご確認ください。
▼航空業界（パイロット／航空管制官／無線整備士）
航空の世界では、今でもNDB（無指向性無線標識）や VOR（超短波全方向式無線標識）の識別信号としてモールス信号が使用されています。
たとえば、ある地点の無線標識が “NRT” であれば、その識別音として N・R・T のモールス信号 が周期的に流れます。パイロットは航行中にその音を聴き取り、「正しい無線局の信号を受信しているか」を確認します。
モールス信号で会話するわけではありませんが、モールス信号を聞いて判別するスキルは必要です。
▼海事業界（船員・通信士・海上保安庁）
海の世界では、GMDSS（全球海上遭難安全システム）に移行したことでモールス通信の実務は大幅に減りました。
しかし、“非常用としての最低限のモールス知識” が研修で扱われることがあります。
特に有名なのが SOS（・・・ ーーー ・・・） です。
また、海技士（航海）、無線従事者 などの勉強で、通信の基礎として触れる場合があります。
▼アマチュア無線（CWオペレーター）
趣味の分野ですが、現在でも最もモールスが活発に使われている世界がここです。
CW（モールス通信）は
- ノイズに強い
- 設備が簡易
- 長距離に強い
という特性があり、声よりも届きやすい通信方式です。
以下のような活動例があります。
- DX（遠距離交信）
- CWコンテスト
- CW限定のイベント
- クラブ活動・講習会
技術の高さは自然と評価され、講師・ライター・イベント主催などでの活躍にも繋がります。
間接的にモールス知識が活きる仕事
たとえモールス信号を直接使わない仕事でも、以下の分野では基礎知識が役立つことがあります。
▼情報通信エンジニア／セキュリティ技術者
モールス信号の特徴は「符号化された情報を最適に伝える仕組み」です。
- 符号長
- 冗長性
- 誤り訂正
- エンコード／デコードの考え方
こうしたデジタルの概念は、現在のデジタル通信や暗号技術の基礎と繋がっており、学習の入口として理解しやすいメリットがあります。
▼防災・危機管理の専門家
災害時には電波状況が不安定になり、簡易な通信手段が求められます。
そのため、防災研修などで
「電源が不要な通信」
「音と光だけで伝えられる符号」
としてモールスが紹介される場合があります。
歴史的にモールス信号が使われていた仕事
現在ではほぼ消えましたが、モールス信号はかつて社会インフラを支える重要技術でした。
▼鉄道通信士
日本の鉄道では、駅間通信にモールス通信が使われていました。
一部は1980年代頃まで残っていたほどです。
▼郵便電信局の電信技士
郵便局では、手紙より早く情報を届ける手段としてモールス通信が使われていました。
当時は専門技士が全国に配置されていたほど重要な仕事でした。
▼軍事通信兵（陸軍・海軍）
日本だけでなく、世界各国の軍隊でもモールス通信は長らく主要な通信方式でした。
モールス信号のスキルでできる「副業・派生的な仕事」
実務でモールスを使う職業は限られていますが、スキルと知識を活かして次のような副業に広げることができます。
▼ライター（航空・海事・無線・軍事・歴史系）
専門ジャンルは読者需要が高く、モールスや無線の知識を活かした記事は重宝されます。
▼モールス講師（アマチュア無線・イベント）
CW講習、初心者向けモールス講座、体験イベントなどで講師として活動する人もいます。
オンライン講座との相性も抜群です。
▼アイデア次第（教材・クイズ・脚本など）
他にもアイデア次第でモールス信号を活用していろいろなことができます。映画やドラマで隠しメッセージで使われることもあります。
モールス信号をモチーフとして教材やクイズなどを作ってサイト運営することも可能です。
モールス信号を仕事に活かすには（ロードマップ）
現代では「プロのモールス通信士」という仕事はありません。
しかし関連分野で役立てたい場合は、以下のステップが現実的です。
STEP1：基礎（聴き取り・符号の理解）
アルファベット → 和文 → 数字・記号と徐々に広げるのが基本です。
STEP2：実践練習（WPMの向上）
実務レベルの目安は以下です。
- 欧文：13〜20WPM
- 和文：9〜15WPM
STEP3：資格取得（航空・海事・無線など）
- 第三級アマチュア無線技士
- 海技資格
- 航空関係の資格
などで知識が活かせます。
STEP4：仕事・副業に繋げる
- 航空や海事の世界で活かす
- 無線のイベントで講師
- Webサイト運営
- 専門ジャンルのライター
などモールス信号の知識を活かせる仕事に繋げましょう。
まとめ：モールス信号は“完全に消えたわけではない”
モールス信号は、現代の通信技術とは大きく形を変えましたが、
以下の分野では確実に今も価値があります。
- 航空（パイロット・管制・整備）
- 海事（船員・海保）
- アマチュア無線（CW）
- 防災・通信の基礎教育
また、知識そのものが「歴史」「通信」「防災」「趣味」「副業」など幅広い分野に応用できる点も魅力です。
もしあなたがモールスに興味を持っているなら、現在でもそのスキルは十分に生きるものです。