モールス信号の機械「電鍵」の仕組み・種類・おすすめ電鍵・自作について解説

モールス信号を送信するための信号機となる機械を「電鍵(でんけん)」と言います。

電鍵は単なるスイッチのように見えますが、その仕組みや種類、用途によって特徴が異なります。

この記事では、初心者向けに電鍵の仕組み・種類・おすすめ・自作についてをわかりやすく解説します。

電鍵とは?モールス信号を送る機械の仕組み

電鍵の仕組み(スイッチの断続で電流をON/OFF)

電鍵とは、電流の通電と遮断を繰り返すことで「短点(・)」と「長点(ー)」を打ち分ける装置です。

仕組みは非常にシンプルで、金属接点を押し込むことで回路が閉じ、電流が流れます。離すと回路が開き、電流が止まります。

モールス信号との関係(短点と長点の打ち分け)

モールス信号は、「短点(・)」と「長点(ー)」の組み合わせで文字を表現します。

電鍵を短く押せば「短点(・)」、長めに押せば「長点(ー)」になります。

これを一定のリズムで打ち分けることで、文字や数字、記号を伝えることが可能になります。

電鍵の歴史(船舶・軍用・アマチュア無線での利用)

電鍵は19世紀から通信の現場で使われ、船舶無線や軍事通信では、信頼性の高い通信手段として広く利用されました。

現在ではアマチュア無線の世界で親しまれており、趣味や技能として継承されています。

電鍵の種類と特徴

電鍵には4種類あります。

  1. 単式電鍵(縦振り電鍵・ストレートキー
  2. 複式電鍵(横振り電鍵)
  3. 半自動電鍵(バグキー)
  4. 自動電鍵(エレキー)

単式電鍵(縦振り電鍵・ストレートキー)

最も基本形の電鍵で、上下に押し下げて使うシンプルなタイプです。初心者の練習に向いています。

レバーを上下に動かすことで接点を開閉して信号を送ります。短点と長点の長さのタイミングはすべて手動調整のため正確に送信するには訓練が必要です。

構造が単純で壊れにくいため、現在も入門用として人気です。

複式電鍵(横振り電鍵)

横方向に動かして打鍵するタイプです。手首の負担が少なく、長時間の運用でも疲れにくいのが特徴です。

ストレートキーと同じく、長さのタイミングはすべて手動であり訓練が必要です。

日本ではあまり一般的ではありませんが、一部の愛好家に利用されています。

半自動電鍵(バグキー)

バグキーは、短点のみを自動で送信できる電鍵です。この名称は世界で初めて開発したVibroplexがホタル(Lightning Bug)を社章として刻んでいた事に由来します。

レバーを右に押すと短点が送信され(自動)、左を押すと接点が閉じ長点を送信できます(手動)。

短点は自動ですが長点は手動のため、短点の長さに対して長点の長さがブレる傾向があります。

長点は手動で打つ必要がありますが、短点がリズミカルに出せるため、速度の速い通信に向いています。

自動電鍵(エレキー)

近代的なCW通信で主流となっているのが、パドルと電子キーイング装置(エレキー)の組み合わせの自動電鍵です。

レバーが2つあるタイプが多く、左レバーで短点、右レバーで長点が自動送信されます。左右同時に閉じることで短点と長点を交互に連続送信することもできます。

長さのタイミングが自動のため初心者にも使いやすいです。ただし、レバーを押すタイミングだけは訓練が必要です。

高速通信に最適で、多くのアマチュア無線家が利用しています。

電鍵の選び方とおすすめモデル

初心者におすすめの練習用電鍵(安価・扱いやすい)

初めて電鍵を使うなら、基本形となるストレートキーを利用してみるのもおすすめです。

シンプルな構造で扱いやすく、打ち方の基礎を学ぶのに最適です。

日本のハイモンドやGHD製がおすすめです。

実運用で人気のエレキー

アマチュア無線で実際にCW運用をするなら、エレキーが主流です。

自動的に符号を生成できるため、正確かつスムーズな通信が可能になります。

比較的かんたんな訓練で使用できるため初心者におすすめです。

日本のGHD、アメリカのBencher(ベンチャー)、イタリアのBegali(ベガリ)、ドイツのSchurr(シュアー)あたりがおすすめです。

購入方法(Amazon・ハムショップ・オークション)

電鍵の購入方法はいろいろあります。

  • Amazon・楽天:手軽に購入可能です。
  • アマチュア無線ショップ:専門店ですが店舗や品数が少なくなってきています。
  • 中古市場・オークション:ビンテージ電鍵や限定モデルが見つかる場合があります。

ネットショップでどんな電鍵が販売されてるか試しに見てみると面白いでしょう。

電鍵の自作について

電鍵はシンプルな構造のため自作する人もいます。

ただし、そこまで高価ではないので購入する方が早いし品質面でも安心でしょう。

自作のメリット・注意点
  • メリット:構造を理解できる。カスタマイズ可能。
  • 注意点:耐久性や打ち心地は市販品に劣る。接点部分が劣化しやすい。手間がかかる。

まとめ:自分に合った電鍵を選んでモールス信号を楽しもう

電鍵の仕組みや選び方について説明しました。

電鍵は比較的なシンプルな構造です。自作もできないことはありません。

しかし初心者向けにはストレートキーかエレキーの購入がおすすめです。

モールス信号は、電鍵を通じて初めて形になります。ぜひ自分に合った電鍵を選び、モールス通信の世界を楽しんでください。